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人生朝露

人生朝露

“I Am the Walrus”と荘子。

Abby Road(1969)
現在はビートルズ(The Beatles)を扱っております(笑)。

・・さて、「アイ・アム・ザ・ウォラス"I Am the Walrus"」のなぞなぞの続きを。

「Walrus(セイウチ)」とは、鏡の国のアリスに登場する、
セイウチと大工。
「セイウチと大工」である、というところで、40年もの間止まっているこのなぞなぞ、どうやら、英語版のWikipediaでも、それ以上の研究は無いようです。

ポール派の人間として一つ訊きたいんですが、ジョン・レノンってその程度の人間でしたっけ?

参照:Wikipedia I Am the Walrus
http://en.wikipedia.org/wiki/I_Am_the_Walrus

鏡の国のアリス。
> It is a very inconvenient habit of kittens (Alice had once made the remark) that, whatever you say to them, they always purr. "If they would only purr for "yes,' and mew for "no,' or any rule of that sort," she had said, "so that one could keep up a conversation! But how can you talk with a person if they always say the same thing?" (Through the Looking-Glass and What Alice Found There)

・・・「鏡の国のアリス」の最終章からの抜粋です。これが、"Strawberry Fields Forever"の、

>Always, no sometimes, think it's me, but you know I know when it's a dream.
I think I know I mean a 'Yes' but it's all wrong, that is I think I disagree.

と、繋がるんですよ。
Chapter 12"Which Dreamed It?"にね、「どっちが夢を?」ですよ。

参照:Carroll, Lewis .Through the Looking-Glass and What Alice Found There
http://etext.virginia.edu/toc/modeng/public/CarGlas.html

この続きを"The Fool on the Hill(丘の上の愚者)"が教えてくれるんです。

ニコラス・コペルニクス。

“See the world spinning round.”「地球は回る」とね。地動説ですよ。ここで、コペルニクス的転回(Kopernikanische Wende)が必要になるわけです。

しかし、誰もやらなかった。西洋人にとっての鏡の向こう側に、アリスと似たような(実際にはもっと深い哲学を展開した)人物がいるのです。

胡蝶の夢。
胡蝶の夢と自分の現実の区別ができないという人がいるわけです(莊周夢蝶"The butterfly dream")。

参照:Wikipedia Zhuangzi
http://en.wikipedia.org/wiki/Zhuangzi

Wikipedia 荘子
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8D%98%E5%AD%90

彼は紀元前に天運篇で地動説を、至楽篇で進化論を唱えています。

参照:当ブログ 荘子と進化論 その30。
http://plaza.rakuten.co.jp/poetarin/diary/200911300000/

Zhuangzi
すなわち、"The Fool on the Hill(丘の上の愚者)"とは荘子に他ならない!

ホワイトアルバム。
そこで、ジョンは、もう一度分かりやすく"Glass Onion"で、荘子とのつながりを見せたんだけども、さらに混乱して誰も気づいてくれない(泣)。Glass Onionのヒントってのは、あなた、"The Fool on the Hill(丘の上の愚者)"にもあるんですよ。

"And the eyes in his head.See the world spinning round.”(彼は『頭の中の目で』世界が回っていることを見ている。)

頭の中の目っていうことは、目玉ってのは、単なるガラス球に過ぎないってことでしょ?

Glass Onion
ガラスの玉ねぎ(Glass Onion)を『通して』見ろってことです。

「胡蝶の夢」だって一面においてはそうです。我々が夢を見ているとき、目はつぶったままですよね?ガラス球を通して見ているのではなく、頭の奥のほうで見ている。極端に言うと、ガラス球を通して見ているのが「現実」。ガラス球を通さずに見ているのが「夢」です。もしもガラス球が嘘をついているとしたら、我々の「現実」というのはすべて「夢」に等しい。荘子という書物は、明らかに、その奥底から問いかけているんです。

・・・同時に、"The Fool on the Hill"という曲は、地動説を認めなかった、キリスト教批判でもあります。"Lady Madonna"もやんわりとしたキリスト教批判ですよね?

ビートルズ排斥運動
アメリカのバイブル・ベルトを中心にして起きた、1966年の「ビートルズ排斥運動」に対するメッセージを隠したんです。美しき自由の国の人びとにバレると、また殺人予告の投書をされたり、焚書されかねんので(泣)。荘子と同じように例え話で気づいてもらうしかなかった。

参照:YouTube John Lennon, The Beatles, and Jesus?
http://www.youtube.com/watch?v=wfMmbXwH9xQ&feature=fvw
↑これも、たった40年前ですからね。

More popular than Jesus - Wikipedia 
http://en.wikipedia.org/wiki/More_popular_than_Jesus

当ブログ ビートルズ排斥運動。2007.11.22  
http://plaza.rakuten.co.jp/poetarin/diary/200711220000/

鷹の目。
先入観なく、ただ、意味と意味と直感的にたどると、見えてくるわけです。

"Trying to make a dove-tail joint, yeah!Looking through a glass onion!"

参照:Glass Onion - The Beatles (WITH LYRICS!) HQ!
http://www.youtube.com/watch?v=HOF7q2odSVM

セイウチと大工。
【carpenter】

Dovetail joint
【dovetail joint】

Zhuangzi
そして、荘子。

・・・ま、10万字以上ある長編なので、分かりにくいんですが。

答えは・・実は書いてしまいました。
今まで良く使ったのは12と14なんですが、その間の天道篇第十三の最後の部分です。ただ、正確には大工じゃないんですよね。

参照:荘子と進化論 その7。
http://plaza.rakuten.co.jp/poetarin/diary/200908140000/

Zhuangzi 《天道 - The Way of Heaven》
http://chinese.dsturgeon.net/text.pl?node=2799&if=en

輪扁曰「臣也、以臣之事観之。断輪、徐則甘而不固、疾則苦而不入。不徐不疾、得之於手而應於心、口不能言、有數存焉於其間。」
→輪扁なる車輪作りの職人は言った「職人である私の立場から言わせて頂きます。車輪を作るとき、削りすぎると、素材をはめ込むこともできないし、削りが甘くても、素材をはめ込むことは出来ません。ぴたりと材木をはめ込む熟練の極意は、言葉では伝え切れないのでございます。」

・・・・車輪を作りながら、職人が言うんですよ。"Trying to make a dove-tail joint"(蟻継ぎをはめながら)言うんですよ、お殿様・・・あなたの読んでいる「早くに亡くなった聖人の書物」というものは・・・

言っておきますが、『荘子』という書物は、新約聖書の成立よりも200年は早く出来ていますし、キリスト教の存在すら知りません。言葉のみでは人間の総体を伝えきれないことを諭し、一冊の書物に盲信する行為をたしなめるためのものです。

Magical Mystery Tour 1967。
そうなると、さらに、"I Am the Walrus"の冒頭の、

"See how they run like pigs from a gun, see how they fly."の"pigs"の意味も推測できるようになります。

Zhuangzi
有暖昧者、有濡需者,有巻婁者。所謂暖昧者、学一先生之言、則暖暖昧昧而私自説也、自以為足矣、而未知未始有物也、是以謂暖昧者也。濡需者,豚虱是也。擇疏鬢、自以為廣宮大園、塞蹄曲隈、乳間股股、自以為安室利拠、不知屠者之一旦鼓臀、布草、操煙火、而己與豚供焦也。此以域進、此以域退、此其所謂濡需者也。(『荘子』徐無鬼 第二十四)
→アイメイなる者や、濡需(じゅじゅ)なる者や、巻婁(けんる)なる者が世に蔓延っている。アイメイなる者は、一人の先生だけに従ってその先生の言ったことだけを信じきって満足してしまい、物事の本質がまるで分かっていない。濡需なる者は豚にたかったシラミのような者だ。豚の毛深い場所に住み着き、そこを楽園だと思いこんでいる。ひとたび豚が殺されて、枯れ草で燻された時にようやく後悔するような者で、自分の狭い見識にとらわれて、小さな範囲で威張り散らす程度のことしかできない。

・・・「ウォラス」の隠れた意味って、これではなかろうかと・・・。

今日はこの辺で。


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